DAY DREAM
2月の現実
あの日以来、理絵ちゃんから頻繁に連絡がくるようになった。
時々お茶もおごってくれる。
現実的な話を突き付けられるのは苦手だけど、お茶は好きだから、プラスもマイナスもない。

「こないだあんたの彼氏の八百屋の前通った」

「ほうほう」

「悪い人じゃないのはわかるけど、あんたを幸せにできない男は、私にとっては悪い男なの。わかる?」

わからなくないけど、わかりたくない。

確かに、今年で25歳、ともなると、ちゃんとした“企業”にお勤めの彼氏とやらを作って、数年後に控えた結婚とやらに胸を踊らせるべきなのだろう。

私だって考えている。

もしも太一と別れることになって新しく恋人をつくるなら、とにかくお金持ちがいい。

愛とかそんなのは、全部太一がくれたから、もうそんなの必要なくて、とにかくお金持ちというブランドを掲げた人がいい。

季節の野菜を答えられなくても、ヘッドフォンから漏れる音楽を当てられなくても、近所の犬の死に涙を流せなくてもいいから

お金持ちがいい。


太一と、離れたらの話だけれど。
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