平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
毎日のように愛を囁く、のはまだいい。

だが先日のアデルモウス侯爵邸では首を舐められ、その翌日も昨日もやたら手にキスをされ、膝の上からなかなか下ろしてもらえず構われた。

今朝、着替え終わったあとのチューだって、支度を手伝ってくれた使用人たちが見ている前でされたのだ。婚約者同士なら普通だと言われたが、頬ならまだしも、いきなり唇同士をくっつけるだなんて……。

思い返したリズは、また頬が熱くなりそうな気がして心を鎮める。

その様子を見守っていた獣騎士たちが、また何かあったのだろうと各々納得した顔で紅茶をずーっと飲む。

コーマックが、ハラハラしてジェドの方へ向かった。

「団長、ここには部下も滞在しています。リズさんはまだ十七歳で、その、頼みますから節度は守ってくださいよ」

「お前、俺をなんだと思っているんだ?」

「そりゃ、兎を前にした狼――いたっ」

ジェドが、素早くコーマックの頭をはたいた。無駄のない動きで、続いてぐいっと服を掴んで彼の頭を引き起こす。

「言うじゃねぇか。上等だ」

「すみませんっ。でもホント目に留まるくらい幸せモードで、もう見ているこっちが恥ずかしいくらいなんですよっ」

自覚はあったようで、ジェドが途端に「やかましいっ」と言しながら腕を回し、コーマックとぎゃあぎゃあ騒ぎ出した。

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