音のないこの世界で
いつも、休日は母が家事をやってくれる。だから僕は、休日はダラダラしながら自室で過ごす。
「ノックぐらいしてくれよ。支度してから行くからそこ置いといてくれ」
ノックをせずに開けられた、というくだらないことで怒ったような口調になってしまった。
「ごめんなさいね。ここ置いとくから」
謝れせてしまった。本当に自分が嫌いだ。
申し訳なく思いながらも出かける支度をして、母が買ってくれたイヤホンを耳に差して、自転車でいつものスーパーに向かった。
スーパーに着き店内に入ると涼しい風がふわっと吹いてきた。来るまではまさに灼熱地獄だった。まだ6月なのに。
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