向き合う勇気
がそう言えば、遥もたしかにと微笑んだ。お互いが落ち着いてから、司書の先生に帰りの挨拶をしたあと、私たちは図書室を後にした。
そして廊下に出た時、遥が呟く。
「ちなみに、さきはいつから私の事好きだったの?」
遥が不思議そうに首をかしげた。
「きっとあの日からかな。」
「あの日?」
遥がそう呟いた時、ちょうど、2人がいた廊下がオレンジ色に染まる。
ちょうど、私と遥が初めて話したあの日のように。
その後、遥は結局あの日がいつのことから分からなかったようだった。でも私はあえて今はそれがいつのことなのか教えなかった。だって、二人の時間はまだ始まったばかりだから。
そして、その日私たちはいつも通り二人で帰った。
でも、いつもなら寒さを感じていた私の手は、今日は寒さなんて感じなかった。代わりにとても暖かい温もりに包まれていた。その温もりは、分かれ道になるまで、ずっと消えることは無かった。
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