向き合う勇気
遥は少し辛そうに顔を歪めた。
「でもね、ある日そんな見つめるだけの日常が終わったの。私が好きで入った委員会で、その人の姿を見つけたんだ。」
図書委員会で関わってそれでいて叶わない人って、もしかして、司書の先生??
確か、先生既婚者だし素敵な人だからありえる。あの人が遥の言った好きな人なら私では、叶わない。
「今なら、その人と仲良くなれるってそう思ったの。だから、その人に自分から話しかけて最初はぎこちなかったけど、いつの間にか自然に話せる仲になって、一緒に帰ったり遊んだりもして。」
「一緒に帰ったり遊んだりしたの?」
驚きのあまり、大きな声が出てしまう。
一緒に帰ったり遊んだりしたなら、司書の先生ではない。あの先生はいつも、私たちより断然遅く帰るはずだから。じゃあ、一体遥の好きな人って誰?
「うん。それで、その人と仲良くなっていくうちにどんどん欲深くなっていって。」
「欲深く??」
「そう、前までは遠くから見つめるだけでいいと思ってたけど、話していく内にもっと一緒に居たいって、彼女にも同じ気持ちでいてほしいって思ったの。」
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