秘め恋ブルーム〜極甘CEOの蜜愛包囲網〜
最終的に予定にはなかった展開で想いを打ち明けることになったものの、結果オーライと言えるだろう。今は香月を引き止めることが先決だと考えていた俺にとって、彼女が俺を好きだなんて想像以上の結果だったのだ。


もちろん、香月に悪く思われているとは感じていなかったが、それでもせいぜい友人の域を出ないと自負していた。
だからこそ、彼女には告白の返事ではなく、『恋愛対象になれるか』という趣旨の答えを求めたのに……。返ってきたのは予想の斜め上をいく回答で、今の俺が聞けるなんて思いもしなかった、けれどなによりも聞きたかった言葉だった。


とはいえ、今の香月と付き合えることを手放しでは喜べない。
嬉しいのは山々だが、恋人という関係性がより理性を揺るがしてくるのは想像にたやすく、これまで以上に忍耐を試されることになるだろう。


本当なら、ずっと我慢していた分、本能のままに求めたい。


香月の小さな唇を塞ぎ、唇同士をすり合わせ、食んで。舌を絡めて、口内を侵し尽くし、吐息すらも飲み込みたい。
身を隠す衣服を剥ぎ、華奢で柔らかそうな体に触れて。ねっとりと舐め、甘く優しく噛んで、ぐちゃぐちゃになるまで乱れさせて、すべてを暴きたい。
そうして、己の中にある欲をぶちまけ、彼女を汚したい。


そこまで考えて、自嘲混じりの笑みとともに息を吐く。
必死に理性的な人間を装っていても、頭の中は薄汚い欲に塗れている。
高校時代に香月で妄想していた奴らと、俺も大して変わらない。こんなこと、清廉な彼女に知られたら幻滅されてしまうだろう。


恋は曲者なんて言うが、感情はもちろん、こういった情欲にまで振り回される今、その意味をまざまざと痛感している。


湯船に浸かっているのとは違う理由で熱を持った下腹部に、大きなため息が漏れる。
浴槽から出た俺は、頭のてっぺんから熱いシャワーを浴びながら、欲に囚われる心を諫めた――。

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