秘め恋ブルーム〜極甘CEOの蜜愛包囲網〜
賑やかな街には、汗ばむほどの陽気が降り注いでいる。行き交う人たちみんなが楽しそうに見えるのは、今の私がなにもかも上手くいっていないからだろうか。


香月志乃(しの)、二十六歳。身長一五四センチ、体重は至って標準。


二重瞼の瞳に、左の目尻はあまり目立たない程度のホクロがひとつ。鼻と口は小さく、顔は普通だと自負している。


肩につくくらいのロブの髪は、毛先の動きを出すために緩くパーマをかけ、ハニーベージュに染めている。


胸が少し大きいのがコンプレックスだけれど、それ以外の容姿に特徴はない。
総評するのなら、〝アラサーに片足を突っ込んだどこにでもいる女性〟だ。


ただし、家なし、職なし、再就職先の目途もなし――という三重苦を除いて……だけれど。


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