冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~


大事なパーティーだというのはわかるが、桁違いすぎて澪は眩暈がしていた。

「これなんてどうだ」

双眸を指で押さえていると、匠馬がショーケースの中を指し言った。

「ネックレス……綺麗ですね」

値段が書いていないのが気になるが。

「見せてもらおう」

そう言えば、後ろをずっとついてきた店員がすごい速さで、中からそのネックレスを取り出す。このチャンスを逃してはならないというような気配に、澪は引きつりそうになるが、匠馬はちっとも気にしていない様子。

「これは希少なダイヤです。うっすらとピンクがかっていて、そちらの御嬢さまにお似合いかと」
「後ろ向け。つけてやる」

匠馬に言われ、くるりと体を反転させる。その瞬間首元に、冷たい感触が走った。

「どうぞこちらをお使いください」

鏡を向けられ、その中で光るダイヤに驚く。

「綺麗……」

こんな高価なもの、生まれて初めて付けた澪は思わず感激してしまう。いらないと言っていたものの、こんな素敵なものをつけたら、誰だってうっとりしてしまう。


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