冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
◇◇◇
匠馬が澪と初めて会ったのは幸之助の病院を訪れた時だった。
母親から幸之助が倒れたと連絡を受け、アメリカ支社から飛んで帰ったが、日本に着いた時にはすでに幸之助が倒れて二日たっていた。
「親父、大丈夫か」
慌てて病室に飛び込むと、ベッドの上に横たわる青白い幸之助がいた。そしてその傍らにひっそりと立ち尽くしていたのが、澪だった。
彼女が幸之助の秘書だということは、幸之助から直々に聞いた。澪は血相を変えやってきた匠馬に驚いていたようだったが、すぐに綺麗な会釈をした。そのとき、匠馬は澪に儚げな印象を持った。
(色が白くて華奢な女だ)
腕を少し強く握れば、折れるのではないかと、心配したほどだ。
だが澪は見た目に反し、何をするにしてもテキパキしていて、誰に媚びを売るでもなくただ淡々と仕事をこなす女だった。
毎日病院を訪れては、幸之助の世話を焼いた。本来なら、幸之助の世話は匠馬の母親がすべきだろう。だが母親は根っからのお嬢様で、人の世話を焼くというような仕事は向いていない。