三ツ橋神社
第一章 始まり

...。


(いやだ...、いやだ...いきたくない。)


(...たすけて、オカアサン...。)


(なんで、なんでぼくなの?)


(...イラナイコは、三ツ神さまにつれてかれちゃうよ。)


真っ暗な部屋の中、赤い絵の具がついた扉が見える。


よく見ると部屋も赤い絵の具だらけだ。


(この女、よりによって...!?)


『っは...。』


な...に、今の夢。


...私、寝てた?


辺りを見渡すと見慣れない部屋。


『あ、そうか。ここ、おばあちゃんの家か。』


私は今日、お父さんと一緒に三ツ橋島にきたのだ。


お母さんの実家で初めての場所。


外からの光で部屋がオレンジ色に染まる。


三ツ橋村には、昼過ぎくらいに着いたのだが、おばあちゃんには会えず親戚のおじさんが出迎えてくれた。


スマホの電源を付けると夕方の16時を示している。


『だいぶ寝ちゃってたな...。』


部屋の中を見渡すと壁の上の方に祭壇が祀ってある。


私は両手を合わせ、目をつぶった。


すると...。


(トワ...トワ...。)


低い掠れた声で、私を呼ぶ声が聞こえる。


『っ!?な、なに。』


部屋の中には私以外誰もいない。


『気のせい...?』


安心して、ふと、机の上に置かれた写真に目を向ける。


六人の男女が写った写真。


しかしそのうちの三人の顔が黒く塗りつぶされている。


なんだろう、なんか気味が悪い。


『っう!』


ふと、頭が痛くなる。


(...トワ、トワ...ヤットキテクレタ...。)


『ま、またあの声...。』


私は立ち上がり、声のする方へ向かうことにした。
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