影がいるから私がいる
今昔が交差する運命
「影?お父さん、何を言っているの?
影と結ばれるってどういう事?」


当然聞かれるであろう疑問に、お父さんは慌てずゆっくりと答え始めた…。


「海希や相賀君だけじゃない…藍那の村の住人は全て成人すると影と結ばれる…。

影はその時が来ると実体化し、子を遺す…役目が終わった影は只の影に戻り、二度と実体化する事は無い…。」


訳が分からないよ…影との子供…?

何でそんな事を…?
たちの悪い冗談だと思いたい…だけど、私にもりっちゃんにも片親しかいない…まさか本当に…


頭の中がゴチャゴチャになってしまった私は、聞きたい事も聞けなくなってしまった。


すると、私の横に居たりっちゃんが喋り始めた。

「村長…理由は…どんな事情があって、そんな事になったんですか?」


りっちゃんの言葉を受けて、お父さんは机の下から古ぼけた本のような物を取り出し上に置いた。

「これは藍那の歴史を綴った歴史書だ…。
歴史書によると、この藍那が出来た五百年前……
当時居た村人夫婦の子供が、生まれてすぐに原因不明の病で亡くなった…。
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