影がいるから私がいる
りっちゃんの声でふと我に帰った私は、状況の把握に努めた。


あれ?目の前にいるりっちゃんは服を着てるし…さっきまでのは夢?幻?
私が「?」な顔をしてると、りっちゃんが説明し始めた。


「まったくどうしたんだ?
いつまでも裸じゃいられないから、着替えようと服を置いた場所まで行ったら、すでに海希はポケーっとしてたし…。」


やばっ!私ったら自分の世界に入っちゃってたし…恥ずかしいな~…。


「ごめんねりっちゃん。
もう大丈夫だから。
さあ、早く深羅に行きましょ!」


私はごまかすように無理にテンションを上げた。

りっちゃんがそんな私の心中を察したみたいに聞いてきた。


「海希…何か隠してないか?」


りっちゃんの指摘に、私は顔を赤くしながら答えた。


「まっさか~、そんな隠し事なんてする訳ないよ~。
ほら、行こっ。」


そう言うと私は、りっちゃんの腕を取って無理矢理引っ張って行った。


私は一つの事を深く心に刻んだ…。


妄想は程々にしよう…。
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