【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
◆君に惹かれた日。 貴敬side


「ああ〜何を間違ったんだー……」

「……おい、タカ。いつまでいるつもりだ」


 現在二十二時半過ぎ、親友の海斗が個室に入ってきてそう言った。


「俺、振られたんだもん……」

「あー……あのタカが言っていた“かよちゃん”だっけ?」

「海斗が、かよちゃんって言うな! 俺だって、かよちゃんだなんていえないのに!」

「あーはいはい。ヤキモチはいいけど、振られたんだろう?」

「振られるなんてやだ……」


 やっと、食事に誘うことができたのに霧島に嫉妬して好きなタイプなんて聞いたばっかりに……。


「もしかして、このお金は彼女が置いて行ったの?」

「うん」

「めちゃくちゃ嫌われてんじゃん。タカって女の子に振ることはあっても振られる側は初めてじゃない?」


 うん……確かに。女の子を自分から好きになったの初めて。



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