溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
元許婚
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『東京ドームシティホール』

三千人の観客が収容可能な大ホールで東雲夫妻のピアノリサイタルが開演される。
私と加那斗さんはドレスアップして、開演前の裕美さんの控室を訊ねた。

「久しぶりね…加那斗」

「久しぶりだ…裕美」

五年振りに私は裕美さんと顔を合わせた。

「ウエディングドレス姿の私を放り出して、二人でドバイに行ったのか思ったけど、違うのね」

「まぁな・・・それよりもあの時のコトを謝罪したい・・・裕美…ゴメン…」

加那斗さんと私は鏡の前の椅子に腰を下ろす裕美さんに頭を下げた。

「五年前のコトは忘れたわ…私は志朗を手に入れたし…今…お腹の中に彼の子も身ごもっている」

同じ音楽の世界に身を置く愛する人と結婚し、子を宿した裕美さん。

あの時は常に何かに苛立っていた彼女とは変わって、穏やかで悠然としていた。

「でも・・・私も七海さんに酷いコトしたし…謝らないとね…ゴメンなさい…七海さん」

「裕美さん…」


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