溺愛ウエディング～最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない～

私は遠慮がちにノックした。

「空いてるぞ…」

「失礼いたします」
私がドアを開けて入ると加那斗さんがプレジデントデスクにチェアに座って、ノートパソコンを見ていた。

「裕美さんは？」

「帰らせた…俺にも仕事があるからな…」



私は応接ソファのテーブルに目を向けた。
私がテーブルに目を奪われていると彼が抱き竦めて来た。

「手は大丈夫なのか？」

「あ…はい…」

彼は私の右手を優しく掴んだ。
「火傷の痕は残らないか？七海」

「大丈夫ですよ…」
「でも・・・包帯してるだろ？」
「大したコトないのに…大げさなんです」

私が肩口で彼を見れば、優しい笑みを浮かべた。


「・・・裕美の言ったコトは気にするな…俺はアイツとは結婚しない」