榊一族

美鈴 秀の息子

「マジでえ?!」

龍之介は叫んだが、俺も叫びそうだった。

あの美鈴さんに子供がいるなんて。

すると、高校生くらいの子供が二階の階段から降りてきた。

「母さん、お弁当…」
美鈴さんにすごくよく似ている。

「息子の秀明です。」
明子さんが言う。

「はじめまして。」

少年は笑顔で挨拶した。

しかし俺の顔を見ると、少し驚いた。

「父さん…?」

え?俺が?

「こら、何言ってるの。申し訳ありません。」

「でもよく似てたから…ごめんなさい。」

少年は素直に詫びた。

そうだ、俺は美鈴さんと似ているんだ。

そうみると俺の息子のような気がしないでもないが…

「いいんですよ。」

龍之介は絶対にツッコミそうなところだが、少年をジロジロ見ていた。

「へえ~…美少年だなあ!」

「あ、ありがとうございます…失礼します。母さん、じゃあ俺行ってくるね。」

「秀明、お弁当。」

明子さんは息子が取り忘れたお弁当を持って玄関に行った。

「俺は豊には似てないと思うけどな。」

龍之介は伸びをして言った。

そして明子さんが戻って来た。
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