榊一族

白い家の生活

「誰か…いらっしゃるんでしょうか?」

明子さんは庭の花を見て言った。

どうやら明子さんではないらしい。

「本当だ、誰か来てるみたいだ。」

龍之介はそう言うと、チャイムを鳴らす。

…しかし、誰もいない。

「変だなぁー」

龍之介は辺りを見回し、ドアノブに手をかけると…

開いた。

「お邪魔しまーす…」

龍之介に続いて俺たちも中に入る。

フローリングの床は綺麗で彼が榊家で6年住んでいたとは信じがたかった。

すぐ隣は客室だった。陽射し十分が入るようにガラスの洒落た窓にレースのカーテンがついている。そしてテーブルとソファがある。

そしてすぐ隣のドアを開けるとキッチンがあった。冷蔵庫には何も入っていなかったが食器は完備してあった。流石にガスや水道は止まっていたが。

キッチンのテーブルには幼い頃の美鈴さんの写真、それに…

「これ…この写真…!」

明子さんと美鈴さんの大学時代の写真があった。二人とも恥ずかしそうに微笑んでいた。

「付き合って間もなくの頃です。友人が撮ってくれました。」

龍之介は覗きこんだ。

「いい写真じゃん。」
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