榊一族
「親父と、あっこちゃんと…桜子…桜子知ってるかも!」

なるほどな。それもある。

「あの…」

その時、明子さんが言った。

「その先程の写真の方は…どういう方なんでしょうか。」

「それがねー…これはあくまでも俺の予想なんだけど…恋人…なのかなーと。あ、でもさ、俺の予想だし本人否定してっからさ!」

龍之介は慌てて付け加えた。

「そうですか…」

「大丈夫だよ!あいつ結婚してるしガキいるしさ!でも…今そのことで色々あって悩んでる。」

龍之介は下を向いた。

「俺たち家族のせいでさ、あいつ傷つけちゃってさ、情けないよ。支え合わなきゃいけないときにさ。いざってときに俺たちは傷つけあうんだよな。バカだよ。」

龍之介は苦笑いした。

「ま、俺たちのことはさておき、もうちょい見てこうぜ。」

俺たちは別の部屋を見ることにした。

彼は両親の部屋を残したままにしておいたのか。

「そういえばさ、秀の生い立ち、話してよ。」

龍之介はベッドの隣の椅子に座った。

俺は主から聞いたことを全て話した。

生まれてから、成人から、両親の死…

龍之介は静かに聞いていた。
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