榊一族
榊家
4月―桜の木がアーチを作る中、俺は依頼人の家に向かう。

俺は中谷豊、世間ではちょっと名の知れた私立探偵である。

近頃世間を騒ぎたてているのは暗い犯罪と政治、企業の汚職事件、そして芸能界のスキャンダル…数えだしたらきりがない。そんなうるさい世界に生きている自分が嫌になってくる…。

じゃあ探偵をやめろと言われたら俺はもっと嫌になる。俺が興味を示すことは数少ないんだから。

そして依頼人の家に着いた。

…古風な家だがでかい。とにかくでかい。立派な門がこの家に何かありそうなことを示している。

門の隣にある表札には『榊』と書いてある。

依頼人の名前は…俺は鞄の書類をあさる。

ああ、表札どおり、榊だ。榊総一郎、『榊〇〇会社』社長…この家の主人だろう。

さぁ、入ってみよう。

表札の下のチャイムを鳴らす。
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