榊一族

美鈴 秀の仕事部屋(アトリエ)

「しんみりさせて申し訳ない。」

主はそれからは自分の話をせず、俺に庭の芸術性を説明してくれた。

それから俺は自分の家に荷物を取りに行った。主はその際、会社の車を手配し、俺の荷物運びを手伝ってくれた。それはとても助かった。

戻ると、長男とえりさんがいた。

「じゃあ、行ってくるよ。」

「ウフフ、行ってらっしゃい。」

な、なんと!長男がほほ笑んでいるではないか。

そしてえりさんが長男のほっぺたにキスをした。

長男はさらに笑顔になり、えりさんの頭をなでた後、靴をはいた。

「おはようございます、どうぞゆっくりしてください。」

「ああ、ありがとうございます。」

俺に話しかけるときは長男はいつもの調子になっていた。

そして俺は中に入るとえりさんにが言った。

「ウフフ、探偵さん、お父様が呼んでいらっしゃるわ。二階の一番奥の左の部屋です。お荷物は私が運びます。」

「あ、ありがとうございます。」

えりさんはにこにこして楽しそうだった。

この夫婦は仲がいいのか?

えりさんに言われて通り部屋に行ってみると、主は窓の外を眺めていた。

俺が入ると主は気づいた。
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