榊一族
「おぬし、聞いておったのか。」

「うん、まあね。」

次男は冷静に答えた。

「私はこれからもそのことは誰にも話すつもりはありません。」

長女はきっぱり言った。

「そりゃ不倫してたのを言いたくないのはわかるけどよ…」

「お兄様!!私は不倫なんて…」

長女は怒鳴った。

「してねえってのかよ?駆け落ちまでしようとしてたんだろ?」

また新たな事実が発覚した。

駆け落ち?!

長女は次男をキッと睨んだ。

「違うならちゃんと剛と蘭と椿に言えよ。心配してんだよ、みんな。」

「私は違うって夫にも蘭にも椿にも言いました。」

「ただ違うってだけ言っただけなんだろ?そんじゃあ納得しねえよ。」

「いい加減にしてください!!何を言われても私はこのことをしゃべるつもりはないわ!!」

そう言って長女は足早に出て行ってしまった。

「お前というやつは…」

主は呆れてため息をついた。

「あいつがわりーんだろ?話そうとしねえから。あいつの家族はみんなあいつのこと疑ってるぜ。」

そう言って次男は部屋に入ってきた。
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