榊一族

写真

「なんだこれ?」

次男は引き出しの奥から古いノートを出した。

「ノートですか。」

「うっわ、くっせえな!母ちゃんの匂いがする!」

「アハハ…ん?」

俺も笑ってしまったが…

ノートから何枚か写真が出てきた。

見てみると…美鈴さんの若い頃の写真のようだった。

赤ちゃん、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学…

これは…

大学生っぽい美鈴さんと女の人…

その女の人は長女だった。

「桜子…じゃ、ねえな。」

え?すごくよく似ているのに。

「僕は桜子さんだと思いました。」

「いや、これは桜子じゃねえな。あいつこんな可愛い服持ってねえよ。派手なけばけばしい服嫌いだったから。それにあいつは大学生の時いつもパールのイヤリングしてた。この女がつけてるのは本物のダイヤのイヤリングだ。」

そうなのか。まあ、血を分けた兄弟がそういうんだから間違いないだろう。

「兄ちゃん見間違えるのも無理ねえよ。俺は長年あいつを見てきたからわかるけどよ。んで、そのノートには何が書いてある?」

俺はノートをパラパラめくってみた。

しかし何も書いてなかった。

…ように思えたが違った!
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