榊一族

兄妹喧嘩

「今初めて俺は自分のしたことのバカさに気づいたよ。

あんないいやつが俺の部屋でなんかする訳ねぇ。

俺…信じてやればよかったのに…俺が謝ればよかった。

そうすればアイツ今頃も元気だったのに…

俺はアイツよりも自分のプライドの方が大事なんて…バカすぎる。」

龍之介は涙をふいて自分を嘲笑した。

「龍之介…」

俺は龍之介の肩を叩く。

「やっとわかったのね、お兄様。」

俺と龍之介はドアを見ると、お盆を持った長女が立っていた。

長女は俺たちにお茶を持って来てくれた。

「桜子か…」

龍之介は呟く。

「私は何度も謝ったらって言ったのに。」

長女の声は鋭く冷ややかだった。

「悪かった…」

龍之介はぽつりと言った。

「私に謝られても何にもならないわ。」

長女は龍之介を見下す。

「彼のあんな寂しそうな表情、見たことなかったわ。それにお兄様達に誤解を与えて申し訳ないって言ってたのよ。何回もお兄様達の部屋へ行こうとしたけど、お兄様達は全く美鈴さんを無視するんですもの。まるで誰もいないように。本当に酷いわ。」

長女に核心をつかれたのか、龍之介は下を向いた。

「卑怯だわ、お兄様。いつもそうじゃない。」
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