冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。

仁さんが出て行ったドアをボーッと見る。

…わたし、何をされたの?何を言われたの?

わたしが嫉妬した…?

それを仁さんが喜んで、わたしにキス。

キス、を…?

ボンッ!!と本当に爆発したみたいに全身が熱くなる。

どうしよう!!わたしのファーストキスが!!

指を絡ませられ、頬に触れられて、キス…!!

座っていたベッドにダイブして堪らず手足を激しくバタつかせる。

どうしよう!どうしよう!!!

頭はパニック、口元はニヤニヤなわたし。

けど、すぐに冷静になる。

あれ?でもわたし「好き」って言われてないな…。

理性がどうのって話をされたと思うのにもう全然内容が思い出せない。

それよりも何よりも、キスが!キスがっ!!

「千聖ちゃーん、焼き芋出来たから食べましょー!」

わたしがキャーキャーひとりで騒いでると、下からまり子さんのわたしを呼ぶ声が聞こえた。

最近は仁さんが居ても、わたしのことを「千聖ちゃん」と呼んでくれるので、嬉しい。

「はーいっ!いま、行きまぁーす!」

わたしはまだ真っ赤な顔したまま下に降りたら、まり子さんはわたしを見るなり「良かったね」と微笑んでくれた。

3人で食べた焼き芋は、それはそれは甘くて、
美味しくて思いっきり頬張るわたしを仁さんは愛しげに見つめてくれて、そんな仁さんは焼き芋より甘いとまた顔が赤くなった。



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