敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
「仁くん、どうしてそこにいるの? てかいつからいたの?」

問いかけると、仁くんは持て余すほど長い足をゆったりと組み替える。

「仕事の合間にコーヒーを飲みにきた。美玖と彼氏が入ってくる少し前に」

淡々と答えられ、私は目の前が真っ暗になった。

最悪……。

仁くんの第一声からそんな気はしていたが、修羅場を一切合切目撃されてしまったらしい。

でもここは仁くんに教えてもらったカフェだったから、彼と鉢合わせしてもなんらおかしくはなかった。

「何時間もぼんやりしていたが大丈夫か?」

「……ほっといて。仁くんには関係ない」

正直、仁くんには見られたくなかった。

仁くんはその隙のないルックスだけでなく、大企業の代表取締役社長兼CEOという超エリートだ。

二十代の頃、ソフトウェア関連の設計や開発をする企業を立ち上げ、創業たった四年で国内ナンバーワン規模へ拡大した。現在は海外進出も果たし、業界注目企業として世界中から評価されている。

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