敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
ラストシーンでは会場が涙に包まれる。

「すっごくよかったね」

さすが人気のミュージカルだ。

幕が下り、夢中になって拍手を送った。仁くんも堪能できたようで、私は大満足する。

余韻に浸りながらホテルに戻った私たちは、ディナークルーズに出かけるための支度をした。

スマートエレガンスのドレスコードが指定されているので、私はフリル袖の華やかなチュールワンピース、仁くんはダークスーツに着替えた。

午後五時半、ホテルに迎えの車がやって来て、ハドソン川のピアから豪華客船に乗り込み出航する。

窓際の席でマンハッタンの輝く夜景を眺めながら、ジャズの生演奏とコース料理を楽しんだ。

食事が終わると展望デッキに出て、リバティ島を見渡す。

ライトアップされた自由の女神の写真を撮っていると、不意に仁くんのスマートフォンが鳴った。

「すまない、日本からだ」

仁くんは私に断ってから船内に入っていく。なにかトラブルでもあったのだろうか。

私は気になりつつ、自由の女神に視線を戻す。

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