Tear Flowes〜We are losers〜
憤怒
「二人とも、お疲れ様!」

「お疲れ様で〜す!」

フィオナとフリージアのもとにフェリクスとモモが駆け付け、犯人たちを連れて行く。その様子を見届け、フィオナとフリージアは特殊捜査チームの部屋に帰ろうと歩き始めた。

「ん?レティシアから電話だ」

フリージアのスマホが振動し、レティシアから電話がかかっていることが知らされる。フリージアは電話に出て数秒後、険しい顔を見せた。

「フィオナ、落ち着いて聞いてくれ。エヴァンがいなくなったらしい」

「えっ……」

調査中にエヴァンは勝手にどこかに行くなどあり得ない。ましてや、犯人を引き渡していない状態で何も言わずにいなくなるなど、エヴァンは今まで一度もしなかった。フィオナの胸に緊張が走る。

「エヴァン……!」

スマホに電話をかけてみる。しかし、コール音が虚しく響くだけでエヴァンは何度かけても出てくれない。すると、サルビアからとりあえず部屋に戻るように指示が入った。

「フィオナ、もしかしたらエヴァンは先に部屋に戻っているのかもしれない。帰ろう」

フリージアがフィオナの手を掴む。しかし、フィオナは「それはありえません」とすぐに否定した。幼なじみという特別な立場だからこそ、わかるのだ。

「エヴァンは勝手な行動はしません。勝手に現場を離れ、帰っていることはありえません」

「フィオナ……」

その時だった。フィオナの頭の中に映像が浮かぶ。古びて誰も近付かないであろう廃工場の映像だ。エヴァンが椅子に縛り付けられている。その表情は苦痛に歪んでいた。そんなエヴァンを楽しそうに一人の男性がニヤニヤしながら見て、エヴァンを殴り付けている。

「エヴァンが……拷問されている……」

フィオナの顔色がどんどん悪くなっていった。フリージアが目を見開き、「フィオナはみんなに知らせてくれ!俺は犯人たちから何か知っていないか聞く!」とすぐに動き出す。

エヴァンがどこかに監禁され、拷問を受けている。そうフィオナが伝えると、「すぐに力を使って探そう!」とみんな言い、手分けして廃工場を探すことになった。
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