君の言葉で話したい。
「笑わないでよ。本当に難しいんだから。」
「鈴はできてるなのに、完璧主義だから。」
言葉なんて通じればいいんだよ。
紫涵はけらけらと笑い飛ばしたが、
鈴は納得できなかった。

講義程度で挫折している自分と比べて、
紫涵や雨泽は、どれだけ辛い思いをしたのだろう。

海外で働いて、
皆が外国語を話して、
家族もそばに居らず、
頼れる友達も近くにいない。
雨泽のように、
一生懸命マニュアル通りに働いていても、
外国語で差別用語を、
捲し立てられることだってある。

どれだけ孤独と闘ってきたのだろう。
そう思うと、自分が迷惑だと伝えた、
あの言葉は、
雨泽にとって、
どれだけ酷い言葉だったのかと思う。

自分が中国語を勉強するまで、
想像したこともなかった。
そんな自分の浅はかさに、
鈴は溜息を漏らした。

今後、外国人には、
親切にしよう、
猛省して今日も業務に励むことにした。
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