君の言葉で話したい。
2話 初恋
正直留学は気が進まなかった。
美味しい広東料理、
仲の良い友達、
それらが無い新天地に行ったって、
何になる。

俺は中国が好きだ。
故郷の人の温かさが好きだし、
何より日本の水を飲むと、
身体に合わないのか、
腹を壊す。

日本人の性格だって、
遠慮ばかりしていて、
距離を感じるし、あまり好きじゃない。

それでも日本に来たのは、
もしかしたら、
彼女に会うためだったのかもしれないーー

雨泽は瞼を閉じた。
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