俺がお前を夢の舞台へ
プロローグ〜夢のはじまり〜


『パパーっ!忘れ物届けに来たよっ』


小学1年生の体では少し重たいベルトを持って、グラウンドへ入る。


まだ葉桜の残る暖かい日のことだった。


少年野球の監督をしているパパは、うっかり者で、よく忘れ物をする。


その日はいつものように、パパに会いにグラウンドを突っ切っていた。


『おい!危ねーだろ!女はグラウンドに入ってくんなっ』


見慣れない顔の男の子が私を突き飛ばした。


『コラ勇翔!突き飛ばしちゃダメだろ?それに、女の子だってグラウンドに入っていいんだ。謝りなさい』


これが結城勇翔(ゆうきはやと)との出逢いだった。


パパに怒られて不貞腐れながら謝ってきた勇翔の顔は今でも覚えている。
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