俺がお前を夢の舞台へ
第4章

本当のこと

──


蒼空が投げた渾身のストレートが、勇翔の後ろのネットにぶつかり勢いを無くして落ちる。


「ボール!」


「はっ?ストライクだろ!」


「あ?俺がボールっつったらボールなんだよ」


判定は勇翔の申告制らしい。


「どういうルールなんだろうね」


「3打席勝負だと思う。1打席でもヒット性の当たりが出れば打者の勝ち。昔からそのルールだった…」


二人から目が離せない。


勇翔が今までにないくらいイキイキしている。


蒼空の表情はいつものポーカーフェイスでよく分からない。


だけど、微かに口角が上がっている気がする。


勇翔がバットを構え直す。


その動作は、小学生の頃と同じだった。


ブランクが何年もあっても覚えているものなのか、今日までたくさん練習したのかは分からない。


勇翔のことだからどちらもあり得る。


監督がドン引きするほどの天才児だった勇翔が、蒼空のような努力を積んだらきっと無敵だ。
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