俺がお前を夢の舞台へ
生活しているだけで命が削り取られている気がする。


明日が来ないかもしれないと思うと、夜眠りにつくのが怖い。


眠れたと思っても、今日みたいに死ぬ夢を見て寝た気がしない。


野球でメンタルは鍛えられたと思っていたけど、ここまで落ちるなんて思いもしなかった。


「…はぁ……」


倒れた時の痛みが忘れられなくて、またあれが襲ってくるのかと思うと嫌で嫌で仕方ない。


心臓を鷲掴みにして握りつぶされるような痛み。


呼吸ができない恐怖。


そして何より、その場にいた彩絢の泣きそうな顔が1番苦しかった。


あんな顔、見たくなかった。


だから病気のことを話したくなかった。


知られたくもなかった。


バレないうちに完治させて、何事もなかったかのように振る舞うつもりだった。
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