俺がお前を夢の舞台へ
目の前でヒラヒラと揺れる手。


「はっ!ごめん、何?」


蒼空が怪訝な表情を浮かべて私を見る。


「ドリンクある?」


ド、ド、ド、ドッと全身に勢いよく血液が駆け巡る。


勇翔のことばかり考えていたことが見透かされそうで怖かった。


「ド…ドリンクね、ごめん、すぐ作る」


勇翔に頭を支配され、仕事を怠ってしまった。


「ならまたあとでいいや」


「ごめんなさい……」


部活に私情を持ち込んで仕事を忘れるなんて、やっちゃいけないミス。


蒼空の夢を叶えたいだなんて言っておいてこれじゃ、サポートになっていない。


「そんなことで落ち込むなって。ミスは誰にでもあるんだから」


くしゃくしゃっと頭を撫でられ、罪悪感でいっぱいになる。


「んじゃ、もう一息頑張ってくるから、彩絢もちゃんと仕事しろよー」


蒼空が軽快に去っていく。


蒼空の仕草よりも何よりも、私の頭は勇翔のことでいっぱいになっていた。
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