俺がお前を夢の舞台へ
強豪校に行くか行かないかで、蒼空の人生は大きく変わる。


しかも、何十校からスカウトされていた状態だった。


それなのに、監督への恩返しのためだけに橘を選んだ。


「なかなかぶっ飛んでる奴でしょ?」


「たしかにぶっ飛んでますけど、素敵ですね」


「ね…」


もし私が蒼空なら、迷うことなく強豪校を選んでいた。


“監督の母校を甲子園へ”なんて発想にすらならないかもしれない。


「うちのお父さんのために強豪校のスカウトを蹴ったんだから、何としてでも蒼空を甲子園のマウンドに立たせてあげたい。このまま終わらせたくない」


蒼空は…男子校からのスカウトは迷うことなく蹴っていた。


でも、関東圏の共学校は保留にしていた。


迷いもあったんだろうし、私との約束を意識して進路を決めてくれたんだと思う。


だから…こんなところでくすぶってる場合じゃないんだ。


「蒼空は…甲子園に行って、そこで輝かなきゃいけないんだよ」


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