隣の不器用王子のご飯係はじめました


「好きな人がいるの。本当にもう、ファンクラブができちゃうぐらいモテモテで。向こうはきっと私のことを恋愛対象として見てないけど、私がその人のことを好きな以上、やっぱり杉野くんの気持ちに応えることはできない。……ごめんなさい」



私は杉野くんの方に向き直って、静かに頭を下げた。



「在花ちゃんが好きな“その人”」



杉野くんは私の好きな人が遠坂くんだと完全にわかっているはずだけど、あえて私に合わせて名前を出さずに話す。



「前にも言ったかもしれないけど、あれだけモテてるなら仲良くしてるだけで、その人のことを好きな人たちから嫌がらせされるかもしれないよ」

「……うん」

「オレだったらそこまでモテないし、万が一オレと付き合ったことで何か嫌なこと言ってくる人がいても、守ってあげられる」



杉野くんは、逆上がりに成功して喜ぶ小学生たちをぼんやりと眺めながら言う。

だけどやがて、大きくため息をついて頭を抱えた。



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