ネトゲ女子は結婚生活を楽しみたい！

「今日の分までノルマ済ませておかないと不安すぎて、もう」

「お前はいったい何と戦っているんだよ」

直真さんはため息を吐きながら、手を差し出した。

「行くぞ」

「しばらくはここに住めないと思うと寂しい気がしますね」

直真さんの手をとり、振り返った。
家具などはそのままだったけど、少し殺風景な部屋は寒々しく感じた。

「そうでもないだろ」

「えー？」

なんで？と思いながら、エレベーターを降りてエントランスに行くと、ソファーや椅子に腰かけて優雅にお茶を楽しむ奥様達がいた。
その答えはすぐそこにあったか……。

「八木沢常務、あらやだ。今は八木沢《《さん》》でしたわね。お引っ越しですか？」

わざわざ言い直す所に悪意を感じる。

「子会社に行かれるそうね。直真さん」