僕が愛した歌姫
すんなりと扉が開いて、目を見開く。


まじ?


開いちゃったけど、いいワケ?


開けてみたいという好奇心はあったけど、こう簡単に開いたらなんだか急に申しわけなってくる。


まぁ、でもこんなに無用心なら向こう側にもなにもないんだろうな。


なんて、思って――。


「誰?」


透き通るようなその声に、俺はゆっくりと視線を上げた。


「え……?」


「誰?」


渡り廊下の中心くらいに金網が張られていて、その向こうに、真っ白なワンピースを着た髪の長い女の子の姿があった。


俺に向けて、「誰?」とたずねている。


「あ……あ……」


サーッと血の気が引いてくる。
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