精霊王の娘
しかし、リリエナは精霊の力が見えるというのに、精霊の力を借りた魔術を扱うことができない。精霊と契約していなくても、ほかの誰かと契約している下級精霊に力を借りて魔術の練習をしている子供はたくさんいる。けれども、ほかの子供たちは、すぐに小さな魔術を使えるようになるのに、リリエナだけは何度やってもつむじ風ひとつ起こせない。風の大精霊と同じ髪と瞳の色を持って生まれたのに見かけ倒しだと、陰口をたたかれていることを知っていた。

ゴルゴドの背後の火の中級精霊がそっと目を伏せる。

(どうしてわたしは、精霊が見えるのに魔術が使えないんだろう……)

先週他界した養い親のグードは、大きな目にいっぱいの涙をためるリリエナの頭を撫でては、そのうち使えるようになるよと笑った。

――リリエナはまだ小さいからのぅ、これからじゃよ。

その優しい養い親も、もういない。

< 5 / 46 >

この作品をシェア

pagetop