躁鬱との戦い
イジメ
私達は、父親が用意してくれたマンションへ引越しをした。

引越しをして、間もなく下の子が産まれた。
相変わらず私は忙しかった。
主人はまだビデオ店の店長をしていた。

なかなか、学院を継ぐと言わない。
それを伝えるのは私の役目になっていた。
母親からの電話は、携帯にもかかってくる。
主人は勿論取らない。
そのとばっちりは、私に来る。

しかしながら、父親も孫の存在で歩み寄るようになった。
私を覗いて…


ある時、百貨店へおもちゃや服を買いに行こうと連絡が来た。
ただ、ひろちゃんは来なくていい。



私は分からなかった。
ここから私へのイジメが始まる。

私以外のみんなで百貨店へ行くことになった。
子供達は好きなゲーム等を買ってもらった。

上の子は、絶対に着ないであろう服も買ってもらった。
その服も自分で選んだ訳ではなく、父親が決めた服だった。
娘の好まないワンピース。
1着数万円の代物だ。

でも、娘はそのワンピースを着ることは無い。
母親からの電話で、服着てる?

はい!
私は嘘をついた。

娘にお願いして、1度だけ着て父親にその姿を見せて欲しいと頼んだ。
娘は渋々承知し、1度だけ袖を通し、父親に会った。
そして、帰ってくるなりそのワンピースをゴミ箱に捨てたのだ。

しばらくして、お寿司を食べに行こうと連絡が入った。
勿論、高級寿司屋。
ひろちゃんは留守番で…


そしてまた、私以外のみんなでお寿司を食べに行った。
悔しかった。でも、耐えた。まだ耐えることが出来た。

それからも、ステーキや、天ぷら、他にも高級料理を、私以外で食べに行った。



主人は父親に逆らえなかった。
何故なら、子供の頃、主人の姉が父親に虐待されていたのを目の当たりにしていたからだ。

学院の子供を自宅に呼び出し、竹刀で殴りまくる姿を見ていたからだ。

主人は、大人への接し方が分からなかった。
ある意味、主人は父親のロボットだった。

日が経ち、主人の祖母が亡くなった。
さすがに私も喪服を出し、用意していた。

でも、母親からはひろちゃんは来なくていいと。
主人には、新しい礼服を買うための資金を出した。

さすがに主人も、ひろちゃんが行けないなら俺も行かない!と言ってくれた。
しかし、向こうの意見は変わらなかった。

今回の場合は話が違う。
ずっと孫が見たいと言いながら、1度も見せることが出来ず、亡くなった祖母。

私は悔しくて泣いた。
でも、きっと祖母は主人や娘たちと会いたいだろうと思い、お通夜、お葬式と行くように背中を押した。

本当に悔しくて、悲しくて、やるせない気持ちが溢れた。


私は主人の父親が大嫌いだった。
主人も父親の事が大嫌いだった。
しかし、逆らうことは出来なかった。

母親からの学院を継いでくれコールは相変わらず続いてた。
私は半分ノイローゼになっていた。

もう、耐えれない。
毎日毎日、電話を受ける私の身にもなって欲しい。
いい加減、継いだら?

お給料も増えるし、家からも近くなるし、何より毎日の電話が無くなる。

主人は嫌がってはいたが、渋々承知した。

主人は学院で働くことになった。
私たち家族が音を立てて崩れて行く事も知らずに…
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