今夜もあなたと月、見ます。


遡ること少し


今日も私の1日は特に変わりばえなく、淡々と進んでいた

それこそ、ここに書いても1ページにも満たないようなうっすい1日だったから

こうやってすごい省略ができるレベル


何事もなく1日を終え、つまらない帰り道を歩いていた時、事件は起こった



ーーー


「はぁ」


今日はバイトなしか

最近妙に体がだるいのは梅雨だからかな

軽いため息に足を取られて歩くスピードが落ちた

その時だった



すっ





視界を何か黒い塊が通り過ぎた

それも上から下に


何か落ちてきた?

足元を見ると黒い布のようなものが落ちている


「なにこれ…服?」


上着のような布

持ち上げようと少し屈む

その時


「よっ」

「へ?」


誰かの声が聞こえたと思ったら

今度はもっと大きい影が視界を遮る


!?

ひ、人影!?

「わっ!」


思わず叫んで
屈みかけていた身体はバランスを崩して尻餅をつく


な、何!?

人!?

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