ハツコイ〜僕らははじめてだった〜

はじめての夏祭り

毎日、朝と放課後に練習を続ける舞たち
皆の息もバッチリ合ってきた。

今日は、個人面談があるため
放課後の練習を抜けてきた。
舞の次は克だ。

「…お母さん、まだかな?」

面談10分前、そわそわして
玄関でお母さんを待つ舞。

「あ!きたきた。」

お母さんが来たのを確認すると
舞はこっちこっちと手招きをする。

進路相談室で生島先生が待ってる。
2人は少し急足で、相談室へと向かった。

コンコンッ

「はい。」

「失礼します。」

2人で部屋に入る。

「改めまして、担任の生島です。」

生島先生も、ビシッとスーツを着て
いつもよりかっこよく感じる。

先生は、お母さんに1学期の成績や
生活状況を話していった。
学力は、特に心配いらないものの
主要3教科の実力が弱いこと
クラスの委員をよく頑張っていること
友達とも分け隔てなく仲良くできていること

先生から見た自分の様子を聞いて
何だかくすぐったい気持ちになった。
(そんな風に思ってもらえてるなんて
嬉しいなー。)

「舞は、今将来の夢は、あるのか?」

ニコニコして話を聞く舞に
生島先生が尋ねた。

「夢…学校の先生になりたいです。」

「そっか、そっか。」

自分の職業を夢と語る舞に喜ぶ生島先生。

「そしたら、進路は桜ヶ丘大学を
目指していけばいいと思います。」

「…桜ヶ丘大学?隣の県のですか?」 

お母さんが真剣な顔で質問をする。

「そうです。大学は将来を見据えて
このくらいの偏差値がいいと思います。
教職を考えているなら、高校では
上位30番以内に入っていることを
常に意識した方がいいかな。

情緒面は、本当優しく頑張る子です。
ただ、人の気持ちを優先してしまって
遠慮してしまうことがあるので
我慢ばっかりしなくてもいいんだからな。」

「はい。」

「よしっ、じゃあ、克呼んできて。
今日はありがとうございました。」

「ありがとうございました。」

部屋から出ると、克とお母さんが
立っていた。

「あら、舞ちゃん。
この前はありがとうね。」

ニコニコして克のお母さんが言った。

「はじめまして。克がいつも
お世話になっています。」

「いえいえ、舞がお世話になって。
この前もご飯ご馳走になってしまって。
その後、うちの主人にもわざわざ
挨拶にきてくれたんですよ。
いつも部活帰りにも送ってもらって。
本当にありがとうございます。」

「いえいえ、もー男兄弟の中に
育ってるから。女の子の気持ちに疎くて。
これからもよろしくね。舞ちゃん。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

お母さん達が盛り上がる中

「母ちゃん、生島先生が待ってるから。」

克が言った。

「あらやだ。ごめんなさいね。
克くん、また遊びに来てね。」

お母さんも嬉しそうだ。
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