ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
[プルプルプルプル]

克幸からの着信が響く。
お風呂あがりの髪の毛をドライしながら
慌てて携帯をとる詩織。

「かっちゃん、今大丈夫なの?消灯は?」

「個室だからさ、小さく話せば大丈夫。」

「身体、きつくない?」

「大丈夫だよ。…それより
優勝できなかったのが悔しい。」

「うん。そうだよね。」

「俺の搬送のあと、皆動揺しちゃって
エラーが多くなって、逆転されたらしい。
…なにやってんだろ、俺…って。
て、ごめんな。こんな弱音言って。」

「ううん。かっちゃんの苦しいことも
悲しいことも、悔しいことも
全部知りたいよ?ちゃんと受けとめたい。」

「…。」

「…かっちゃん?」

「…。」

「ごめん。
なんか変なこと言っちゃったかな。」

「詩織…会いたい。」

「…うん。私もだよ。」

「本当はさ…
優勝したら言うつもりだったんだ。
でも昨日、詩織が俺のために
あんな泣いてくれてさ、凄く嬉しかったし
凄く愛しいって思った。」

「だって、かっちゃんが毎日
練習頑張ってたの知ってたから。」

「詩織、本当今まで
支えてくれてありがとう。
これからもよろしくお願いします。」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。」



「…詩織、好きだよ。」

「…。何かっちゃん、本当弱ってる?
だって、絶対そんなこと
言うキャラじゃないでしょ。鈍感だし。」

「…詩織は?」

「え?」

「俺のこと…。」

「もう、言ったじゃん。」

「聞きたい。」

「…とってもとっても大好きです。」


「はー。頑張れるわ、俺。」

「…もう。検査頑張ってね。
学校で待ってるから。」

「うん。本当今日ありがとう。」

「こちらこそ。おやすみなさい。」

「おやすみ。」
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