西岡三兄弟の異常な執着
「とりあえず本日は、僕が作ります」
森宮が一人で手早く、四人分の朝食を作る。

事前に下ごしらえはしていたようで、40分程で味噌汁・焼魚・煮物・和え物と、スープ・ムニエル・サラダ・オムレツを作り、ダイニングテーブルにお皿などをセッティングをしたのだ。

水樹達は、その手際のよさにただ見惚れていた。

「す、凄い……」
「ボーッとしてていいんですか?
明日からは、貴女方がすることですよ?
当然のことですが、メニューが被るなんてあり得ませんからね。
仕事の中で、調理が一番難しいです。
ご主人様達の好き嫌いを考えつつ、メニューが被らないようにしなければならない」
水樹達の姿に、少しため息をつきながら言った森宮だった。
慌てて水樹達は、メモをとる。

「では、ご主人様達を起こしにまいります。
必ずご主人様、若様夫婦、坊ちゃまの順で起してください」
森宮に連れられ、三階に上がる一行。
そこの奥にある、黄色い大きな扉。
一際目立つ扉の前で、森宮が言った。

「こちらが、ご主人様のお部屋になります」
ゆっくり開け中に入る。
真っ暗で、あまり見えない。
「入ったらすぐ、このリモコンでカーテンを開けてください」
森宮がリモコンを操作すると、一斉にカーテンが開き朝日が入ってきた。
大きな窓から、差し込む光で黄河が目を覚ました。
「ん…」
キングサイズよりも大きなベット。
ムクッと起き上がった黄河は、真っ黒なガウン姿だ。
はだけた胸に目が行く。
微かに刺青が見えた。

「ご主人様、おはようございます。
朝食の準備ができております。
ダイニングへ、お願いします」
「ん…あぁ…」

色っぽい黄河の姿に見惚れる水樹達をよそに、森宮は廊下に出た。
「皆さん、早くしてください!」
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