西岡三兄弟の異常な執着
「お願……朱雀を取らないで…ください…
今の私は、朱雀がいないと生きていけません。
だから……」
花苗は少々、パニックになり杉尾の服を握りしめ懇願していた。
「いや、ほんとにそんなつもりないんです!若様と花苗様の仲をどうにかしようなんて……」

「確かに、私は朱雀の裏の顔を全く知りません。
正直…怖くて、知りたいと思ったこともありません。
でも……朱雀の傍にいたいんです。
最初は……朱雀の心の安定の為に朱雀の奥さんになろうと思ってましたが、今は違います!
私が!朱雀の傍にいたいんです。
この屋敷に閉じ込められていても……」
花苗は言いながら、涙が溢れていた。

「花苗様!落ち着いてください!」
「あ…杉尾さ……」
「本当です!若様や皆さんのお世話がしたいだけです!信じてください!」
「はぁはぁ……
杉尾さ…わかり、ました…
すみません…動揺しちゃって……」
「いえ。とにかくもう、お部屋にお戻りください。
お休みになった方が……」
服を握りしめていた花苗を手を包み、目線を合わせて言った杉尾だった。

それから部屋まで花苗を送った杉尾。
「花苗様、おやすみなさいませ」
「おやすみなさい…杉尾さん、取り乱してすみませんでした」
「いえ…大丈夫ですよ」
杉尾が頭を下げた。

部屋に入ると、朱雀が起きてソファに座り待っていた。
「おかえり、花苗。
“かなり”遅いトイレだね!
理由教えて?
体調悪い?それとも、森宮と浮気でもしてた?
どっちかだよね?
防犯カメラ見てもよかったんだけど、花苗の口から聞きたい。
見た感じ、前者ではないよね?
花苗、いつも言ってるよね?
仕事中とトイレ“以外”は、僕から離れちゃダメなんだよ。
さぁ……教えて?
なんで、こんな長時間、僕から離れたの?」
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