西岡三兄弟の異常な執着
そこへ杉尾がノックをして、リビングに入ってくる。

「失礼致します。
花苗様、ご友人がいらしてますが…」
「え?」
「は?誰!?友人で誰なの!?」
朱雀が食らいつくように、杉尾に聞き返した。

「江本様という方です」

「「「江本?」」」
三兄弟が宙を見上げ、誰のことか思い出そうと考えている。
「理太郎くんだ」
「「「理太郎!?」」」

「杉尾!すぐ追い返せ!」
「そうだよ!理太郎なんかに、会わせないよ!」
「早く!!理太郎を追い返してよ!」

「え?少し位なら、いいでしょ?
どこで待ってますか?理太郎くん」
「門前で待っていただいてます。他にも数名の方と来られてるみたいでしたよ!」
「わかりました。理緒ちゃん達もかも?
朱雀、会ってきていい?」
花苗が朱雀を少し見上げて言う。

「ダメ!!やだ!花苗は僕のモノなの!!」

「お願い!」
「ダメ!!やだ!やだ!」
朱雀は花苗を腕の中に閉じ込めるように抱き締め、首を振って拒んだ。
「朱雀…」
花苗はこれ以上、何も言えなかった。

それは、朱雀が震えていたから…………

花苗は、朱雀の背中をさすった。
「朱兄ちゃん……!」
「朱雀……
杉尾!早く、追い返せ!
これ以上は、朱雀が壊れる!」
「は、はい。かしこまりました」
朱雀の姿を見ていられなくて、黄河と真白が悲しそうに顔を歪める。
そして黄河が、一喝した。

門に向かい、事情を説明する杉尾。
「そうすか……」
「はい、申し訳ありません!」
「ちなみに、花苗は幸せにしてますか?」
門を挟み、理太郎が杉尾を見据えて言った。

「花苗様は……幸せにされてますよ。
確かに窮屈な思いもありますが、ご自分の意思で西岡家にいらっしゃいます。
ご心配は無用です」
杉尾は理太郎を真っ直ぐ見つめ返し、はっきり答えた。
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