西岡三兄弟の異常な執着
「理太郎くん!!お願い!!」
必死にもがく、花苗。

「花苗…俺はまだ、花苗のこと━━━━━」

バン━━━━━!!!!
「「「花苗(苗)!!?」」」
そこに黄河達三兄弟が、駆けつけてきた。
━━━━━━!!!!
理太郎に抱き締められている花苗を見て三人は、一気に頭に血が上った。

「理太郎!花苗から離れろ!!」
黄河の声が響いた。
「あ……黄河さ…真白、くん……朱、雀……」
「早く、苗を離せよ!!これ以上、朱兄ちゃんを、壊さな━━━━━」
「うっ…!!!」
「はっ━━━━━!!朱兄ちゃん!!?」

とにかく朱雀がキレる前に理太郎を花苗から離さないとと、真白が理太郎を急かす。
でも………

ザッ━━━と風を切るような音がして、気づくと朱雀が理太郎の首を絞めていた。

「理太郎」
「うがぁぁぁ……苦、し…」
「言ったよなぁ!!
平和な生活の為に、俺から花苗を離すなって!!
なんで、勝手に会ってんだよ!!?
どうせ、このまま連れ去ろうとでも思ってたんだろ!?
ほんっと、理太郎くらいだよ!この俺を挑発する奴!!
さぁ…地獄に落ちろ!!下衆が!!」

花苗は目の前で起こっている事態に、ただ震えて固まっていた。
あまりの恐ろしさに、声が全く出ないのだ。

朱雀は雰囲気や言葉遣い、声が穏やかで柔らかくてとても優しい。
いつも花苗と話をする時、すがり甘えるように話す。
「僕を助けて!」
「僕をこれ以上…壊さないで…?」
「もっと僕を、愛して?」
「僕から放れないで?」
と、花苗に懇願し甘える。

自分のことを“俺”と言ったり、言葉遣いが荒くなったり、ましてやこんな恐ろしい表情なんて見たことがない。

こんな悪魔のような朱雀を、花苗は知らない。
こんなの……朱雀じゃない!
この人は、別人。
花苗は、自分に言い聞かせていた。

そしてまた花苗は、気絶したのだった。
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