月とカラスは程遠い
1.『いつも』の終わり
 ダサいと思ってたセーラー服も着慣れた
高校二年生の春。
桜も落ち切った並木道。
暖かい空気。
澄んだ青空には白い月。

私、月島瑠南(つきしまるな)はいつもと
変わらない通学路を歩いていた。

ブロック塀の上で伸びをする猫を見つけ、
つられてあくびをする。

「今日も朝から気持ちいなぁ」
思わず口に出してしまう。




「おい!!!」
突然どこからか怒鳴り声が聞こえてきた。

思わず立ち止まる。

少し先の、コンビニの陰に背の高い金髪の男と、黒髪の男が一人見えた。
黒髪の男は胸ぐらをつかまれて、壁に押し付けられているようにも見える。

(怖っ、早く学校行こう、、、)
早歩きで通り過ぎる。

通り過ぎて気づいた。

(あれ、あの制服、うちのだったかも)

胸ぐらつかまれていた男の人。

戻るか、戻らないか。
考えるよりも前に足が動いていた。

「ちょっと!!」
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