ファーストソング
あれからめちゃめちゃ練習した。
家でも学校でもひたすら『サヨナラ』を聞いて練習した。

千冬ちゃんには準備出来るまでこなくていいよって言われたが、俺にとっては約束は約束だし。

次の日も当然千冬ちゃんの病室に向かった。

でもそこに千冬ちゃんはいなかった。


「あれ?どこに行ったんだ?」


いつもこの時間なら、本を読んでいるはずなのに。

千冬ちゃんの病室の前でウロウロしていたら、ナースさんが声をかけてくれた。


「長瀬ちゃんなら先生と話している最中だから、今日の面会は難しいですよ。」
「え!?まじっすか!?」


もしかして、悪化とかしたのかな!?
それって俺のせい!?いや俺のせいだよな…。

考え込みながらフラフラ歩いていると、千冬ちゃんの声が聞こえてくる。


「相変わらず、俺の耳…。」


自分の耳の良さを恨みつつ、ついつい会話を聞いてしまう。
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