ファーストソング
歌っていると、━ドンッ。という音が扉から聞こえた。
いきなりの大きな音にびっくりして歌うのをやめる。


何事だ?

そう思い、扉の方に振り向くとそこには制服を着た男の子がいた。

真っ黒の髪は少しなびいていて、前髪を止めているピンク色のピンが目立っていた。
恐らくイケメンって言われるぐらいには顔が整っていると思う。

ちょっとチャラいけど、それも彼の魅力なんだろう。


でもこの人を私は知らない。

誰かの病室と間違えたのだろうか?
そう思い口を開こうとするが、その前に彼が口を開く。


「アンタ、まさか『フユ』ッスか!!?」


自分の声量を理解していないのか、かなりの大きな声で紡がれた言葉に驚愕する。

このチャラ男、『フユ』を知っている?


「な、なんで?」
辛うじて、声が出る。

「やっぱり『フユ』なんだ!!すっげぇ!!!」
そう言いながら彼はズンズンとこちらに向かってくる。
扉を閉める知能はあったらしい。

なんだコイツ?

私の頭はその疑問でいっぱいだった。
なのに、コイツは更に爆弾を落とす。


「あ、あの!!『フユ』さん!俺の為に曲を書いてください!!!」


もう一度言おう。

なんだコイツ?
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