幼馴染 × 社長 × スパダリ
ラウンジに座り、周りを見渡すと、恋人同士らしい二人連れが沢山いることに気づいた。
キョロキョロと見まわしている私に、涼ちゃんが説明してくれた。
「このホテルは先日有名なブライダル雑誌が特集をしたんだ。だから下見に来るカップルが多いのだろう…マスコミの力ってすごいよな…」
(…なるほど、結婚式場の下見ってことか…)
何気なく周りを見回していると、見たことのある顔を見つけてしまった。
(…っえ?)
見間違え?…と思ったが、近づいて来た顔を見て確信した。
別れたばかりの元カレだ。
(…なんで、こんな所にいるのよ!!…)
気づかれないよう、後ろを向くが少し遅かったようだ。
「…もしかして、萌絵?」
見つかってしまった。
自分から“別れてくれ”と言ったくせに、よくもしゃあしゃあと声を掛けらたものだ。
腹が立つが、仕方なく振り返る。
「…た…たか…し…」
元カレの高志は、私と一緒の涼ちゃんに気が付いた。
「萌絵、なんでここに居るんだ?お前も式場の下見?」
“お前も”ということは、この男は式場の下見に来たというのか。
ますます腹が立ってくる。
「違うよ…わ…私は…」
私の言葉を遮るように、涼ちゃんは高志に向って話し始めた。
「萌絵がお世話になっているみたいですね…僕は二階堂と言います。僕たちも今日は式場の下見に来ているのですよ…」
そう話しながら涼ちゃんは私の肩に手を伸ばすと、私を引き寄せた。
「---------------っわ!!」
私は思わず変な声が出てしまった。
しかし涼ちゃんは全く動じていない。
「萌絵は恥ずかしがり屋だからね…人前だとこんなに真っ赤になって…僕の恋人は可愛いでしょ?」
高志は驚いて口が開いたままだ。
更に涼ちゃんは追い打ちをかけるように、私の頬にチュッとキスをした。
(---------な----な---なにが-----起きているの!!)
高志は唖然としていたが、しばらくすると、何故か少し顔を赤くして、黙って立ち去ってしまった。